
EXECUTIVE BLOG
2025.10.30
高光産業株式会社
妹尾八郎です。
昨日までは 法然と親鸞 浄土宗と浄土真宗の話しでした。
今日は 西本願寺と東本願寺が 何故別れているのか???
の話しに進みます、、、。
京都には西本願寺と東本願寺という二つの大きなお寺があります。
どちらも浄土真宗という同じ仏教の教えに基づいていますが、
なぜ二つに分かれているのか????
その理由には深い歴史があります。
もともと浄土真宗は、鎌倉時代に親鸞というお坊さんが始めた宗派です。
親鸞は「南無阿弥陀仏」とお念仏を唱えれば、
どんな人でも救われるという教えを説きました。
その後、この教えは多くの人々に広まり、
戦国時代には「本願寺」という大きな寺を中心に全国に信者が増えました。
当時、本願寺は大阪の石山という場所にあり、「石山本願寺」と呼ばれていました。
石山本願寺は武士たちにも劣らないほどの力を持ち、
いわば宗教都市のような存在でした。
しかし、織田信長が天下統一を進める中で、この石山本願寺は信長の勢力と衝突します。
これが「石山合戦」と呼ばれる戦いです。
この戦いのとき、本願寺の中では意見が分かれました。
信長と戦い続けるべきだという人たちと、
和睦をして争いをやめるべきだという人たちがいたのです。
当時の本願寺のトップであった顕如は、最終的に信長と和睦する道を選びました。
しかし、
顕如の息子である教如はこの判断に反対し、戦う姿勢を貫こうとしました。
この親子の対立が、後の分裂の大きな原因になったのです。
顕如が亡くなった後、家督を継いだのは弟たちではなく、顕如の意志を継ぐ人々でしたが、教如もまた多くの信者から支持を受けていました。
このため、信者の間でもどちらを信じるかで分かれるようになりました。
時代が進み、江戸時代の初め、徳川家康が天下を取ったとき、家康は教如を支援しました。
家康は浄土真宗の力が強すぎることを警戒し、
あえて本願寺を二つに分けるようにしたとも言われています。
家康は教如に新しい土地を与え、そこに新しいお寺を建てさせました。
それが現在の東本願寺です。
一方、顕如の流れをくむ本願寺は西側に残り、西本願寺と呼ばれるようになりました。
このようにして、一つだった本願寺が二つに分かれ、
「西本願寺」と「東本願寺」が生まれたのです。
西本願寺は「浄土真宗本願寺派」と呼ばれる宗派の本山で、
東本願寺は「真宗大谷派」という宗派の本山です。
どちらも親鸞の教えを大切にしていますが、
建物の作りやお仏壇の飾りなどに少し違いがあります。
西本願寺は金箔を多く使った華やかな作りで、
阿弥陀堂などの建物が一重屋根になっています。
これに対して、東本願寺は黒を基調とした落ち着いた雰囲気で、
屋根が二重になっているのが特徴です。
また、
西本願寺の仏具は黒や金を抑えた色合いが多く、
東本願寺の仏具は金色を多く使う傾向があります。
お仏壇の柱の色も、西は金色、東は黒色といった違いがあります。
阿弥陀如来像の後ろにある後光の線の数が、
西本願寺では八本、東本願寺では六本といった細かな違いもあります。
京都では古くから、
西本願寺を「お西さん」、東本願寺を「お東さん」と親しみを込めて呼びます。
どちらのお寺も京都の中心にあり、観光地としても多くの人が訪れています。
西本願寺は世界遺産にも登録されており、国宝や重要文化財も多く保存されています。
東本願寺もまた壮大な御影堂などがあり、そのスケールの大きさに圧倒されます。
宗派の考え方やお経の読み方に大きな違いはなく、
どちらも親鸞の「他力本願」の教えを大切にしています。
つまり、自分の力ではなく阿弥陀仏の力にすべてを任せて救いを願うという考え方です。
現在では、両派が互いに争うことはなく、それぞれが独立した宗派として活動しています。
西本願寺と東本願寺の違いは、もともとは親子の意見の違いと、
政治の流れの中で起きた歴史的な事情から生まれたものです。
どちらが正しいということではなく、
それぞれが時代の中で阿弥陀仏の教えを守り続けてきた結果なのです。
京都に行くと、二つのお寺は歩いて行けるほどの距離にあります。
東本願寺の方が京都駅に近く、西本願寺は少し西側にあります。
どちらも立派で落ち着いた雰囲気のお寺です。
同じ教えをもとにしながら、建物の雰囲気や色合いの違いを感じることで、
それぞれの歴史や文化を体で感じることができます。
まとめると、西本願寺と東本願寺の違いは、
親子の対立と政治的な事情から生まれた分かれであり、
今ではそれぞれが独自の伝統を守りながら、
共に浄土真宗の心を伝え続けているということです。
どちらも阿弥陀仏を中心に、すべての人が救われるという教えを広めています。
京都を訪れた際には、ぜひお西さんとお東さんの両方に足を運び、
その違いを自分の目で確かめてみると良いでしょう。