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社長&顧問ブログ

2025.12.23

クリスマス商戦

高光産業株式会社

妹尾八郎です。

 

いよいよ明日がクリスマスイブとなり、街は一年で最も華やかな季節を迎えています。

 

赤や緑の装飾、イルミネーション、特設売り場、限定商品、予約ケーキやチキンの案内など、「クリスマス商戦」という言葉が自然に使われる光景は、

今や日本の年末風物詩の一つになっています。

 

しかし、

このクリスマス商戦はいったいいつから始まり、

誰がきっかけとなって広まったのでしょうか???

そして戦前の日本にも、今でいうようなクリスマス商戦は存在していたのでしょうか??。

 

実はこの背景をたどっていくと、日本社会の近代化、消費文化の成立、

そして戦後の価値観の変化が浮かび上がってきます。

 

日本にクリスマスが伝わったのは戦国時代、宣教師による布教が最初ですが、

当時はごく限られた地域と人々の間の行事であり、商業とはほぼ無縁のものでした。

 

江戸時代に入るとキリスト教は禁制となり、

クリスマスという行事自体が公の場から姿を消します。

したがって、この時代に「商戦」と呼べるような動きは存在しませんでした。

 

転機となるのは明治時代です。

開国によって西洋文化が流入し、

文明開化の象徴としてクリスマスが再び紹介されるようになります。

 

明治後期から大正時代にかけて、横浜や神戸といった外国人居留地を中心に、

ホテルや洋菓子店がクリスマスディナーやケーキを提供し始めました。

これが日本における商業的クリスマスの萌芽といえます。

 

ただし、この時点ではあくまで富裕層や外国人向けであり、

一般庶民が参加する大規模な商戦とは程遠いものでした。

 

百貨店が登場する大正時代になると状況が少しずつ変わります。

百貨店は「新しい生活様式」を提案する場として、クリスマス飾りや贈答文化を紹介し、

子ども向けのおもちゃや洋菓子を並べるようになります。

 

ここで初めて、

日本人向けの「季節イベントとしてのクリスマス消費」が意識され始めました。

ただし、当時の主役はあくまでお歳暮や正月用品であり、

クリスマスはまだ脇役的存在でした。

 

では戦前に「クリスマス商戦」と呼べるものがあったのかというと、

答えは「限定的にはあったが、今のようなものではなかった」となります。

 

昭和初期には不況と戦時体制の影響で、贅沢な消費は抑えられ、

宗教色のある行事も前面に出にくくなりました。

 

ケーキやプレゼントを大々的に売り出すような雰囲気はなく、

あったとしても都市部の洋菓子店やホテルが静かに行う程度でした。

 

現在私たちが知る「国民的イベントとしてのクリスマス商戦」は、

実は戦後になってから一気に形成されたものなのです。

 

戦後の日本は、

復興と高度経済成長の中で「消費すること」自体が豊かさの象徴となりました。

その中で

百貨店や食品メーカー、玩具メーカーがこぞって注目したのがクリスマスでした。

 

宗教的な意味合いが薄く、

家族や恋人、子どもと楽しめる行事として再定義しやすかったことが、大きな理由です。

 

特に昭和30年代から40年代にかけて、

サンタクロースやクリスマスケーキ、プレゼントといったイメージが

広告を通じて全国に広まりました。

 

ここで重要な役割を果たしたのがテレビとマスメディアです。

 

テレビCMは

「年に一度の特別な日」「家族が集まる幸せな時間」という物語を繰り返し伝え、

消費行動と感情を結びつけました。

 

クリスマスケーキを買うこと、チキンを食べること、

子どもにプレゼントを用意することが、

いつの間にか「当たり前の年中行事」として定着していったのです。

 

この段階で、クリスマスは完全に日本独自の商業イベントへと変貌しました。

誰がきっかけだったのかと問われれば、特定の一人ではなく、

百貨店、食品企業、広告業界、メディアが一体となって作り上げたといえます。

 

ただ、その中でも

「家族向けイベント」「恋人たちの記念日」として方向づけたマーケティング戦略は、

日本のクリスマスを特徴づける決定打となりました。

 

欧米では家族と静かに過ごす宗教的祝日である一方、

日本では消費と演出を伴う年末のハイライトになったのです。

 

こうして見ると、クリスマス商戦は突然始まったものではなく、

明治の文明開化に芽を出し、戦前に細々と続き、

戦後の高度経済成長によって一気に花開いた文化だと分かります。

 

宗教行事という枠を超え、「一年を締めくくる前の特別な時間」を演出する装置として、

日本社会に深く根付いてきたのです。

いよいよ迎えるクリスマスイブ、街の賑わいの裏側には、

こうした長い歴史と人々の暮らしの変化が積み重なっています。

単なる消費の季節としてだけでなく、

その背景にある時代の流れを思い浮かべながら過ごしてみると、

いつものクリスマスが少し違った表情を見せてくれるかもしれません。

高光産業株式会社 公式サイト

https://takamitsu.com/

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