
EXECUTIVE BLOG
2026.1.2
高光産業株式会社
妹尾八郎です。
昨日は 元日でした
正月になると多くの人が神社やお寺に足を運び、お参りをして一年の無事を願います。
その際、境内ではおみくじを引いたり、
破魔矢や熊手、だるまなどの縁起物を授かったりする光景を目にしますが、
これはいつから始まった風習なのでしょうか??。
また、初詣は神社だけでなく、川崎大師のようにお寺でも行われていますが、
そもそも昔からお寺にも初詣という習慣はあったのでしょうか??。
今日はこれらを歴史の流れについてに進みます。
まず、おみくじの歴史から見ていきます。
おみくじは「運勢を占うもの」というイメージが強いですが、
その起源は現在のような娯楽的な占いとは異なります。
古代中国には、重要な物事を決める際に神意を問う「籤(くじ)」の文化があり、
日本にも早くから伝わっていました。
日本では平安時代にはすでに、
寺社で物事の吉凶を占うために籤を引く習慣が見られます。ただし、
これは個人の運勢を気軽に占うものではなく、国家や寺院の重要な決定を行うための、
いわば厳粛な神仏への問いかけでした。
例えば、僧の人事や寺の方針を決める際に籤が用いられ、
その結果は神仏の意思として重く受け止められていたのです。
これが次第に庶民にも広がり、
江戸時代になると、
参詣者が自分の運勢を占うために引く「おみくじ」という形が定着していきます。
江戸時代は寺社参詣が庶民の大きな楽しみの一つとなった時代で、
伊勢参りや観音参りなどが盛んに行われました。
その中で、おみくじは信仰と娯楽の両面を持つものとして親しまれるようになり、
内容も「大吉」「凶」といった分かりやすい表現が用いられるようになります。
つまり、現在私たちが正月に引くおみくじは、古代の神意伺いという厳粛な行為が、
長い時間をかけて庶民の信仰文化として形を変えたものだと言えるのです。
次に、縁起物についてです。正月に授与される縁起物には、
破魔矢、熊手、だるま、干支の置物など様々な種類がありますが、
これらも比較的新しい習慣です。
古くから日本には、年の初めにその年の豊作や家内安全を願って、
特別な物を用意する風習がありました。
例えば、正月飾りの門松やしめ縄はその代表で、年神様を迎えるための目印であり、
神聖な空間を示すものでした。
しかし、現在のように神社で縁起物を授かる形が広く定着したのは江戸時代以降です。
江戸の町では、商売繁盛を願って熊手を授かる「酉の市」が人気を集め、
また破魔矢のように「災いを祓う」という意味を持つ授与品も広まりました。
これらは単なる飾り物ではなく、
「一年を無事に過ごすための心構え」を形にしたものであり、
正月という節目に新しいものを授かることで、
気持ちを新たにする役割を果たしてきました。
つまり、縁起物は信仰と生活が結びついた、実に日本的な文化なのです。
では、初詣そのものはいつから始まったのでしょうか。
実は、「初詣」という言葉や、正月に大勢で神社やお寺に参拝する現在のスタイルは、
それほど古いものではありません。
もともと正月の信仰の中心は「年神様」を家に迎えることであり、
家々で正月飾りを整え、元日の朝には家の神棚や仏壇に手を合わせるのが基本でした。
一方で、氏神様への参拝として
「年籠り」や「恵方参り」と呼ばれる風習は古くから存在していました。
年籠りとは、大晦日から元日にかけて神社に籠もり、新年を迎える行為で、
恵方参りはその年の恵方にある神社や寺に参拝するものです。
これらが合わさり、近代になって「初詣」という形に整理されていきます。
明治時代以降、鉄道の発達や都市化の進展により、
人々が遠くの有名な社寺に正月に参拝することが容易になりました。
その結果、正月三が日に社寺へ参拝する習慣が全国的に広まり、
「初詣」という言葉も一般化していったのです。
ここで重要なのが、初詣は神社だけのものではない、という点です。
川崎大師のように、多くの人が正月にお寺へ参拝する例は全国にあります。
これは、日本の信仰がもともと神仏習合の歴史を持っていることと深く関係しています。
平安時代以降、日本では神と仏を明確に分けず、
神社と寺院が一体となって信仰の場を形成してきました。
そのため、正月に仏様に手を合わせ、一年の無事を願うことはごく自然な行為でした。
江戸時代には、正月に寺へ参拝する「初詣」に近い風習も見られ、
特に厄除けや家内安全を願って有名な寺に参る人が多くいました。
川崎大師が厄除けの寺として正月に賑わうのも、こうした歴史の延長線上にあります。
明治時代に神仏分離が行われ、制度上は神社と寺院が分けられましたが、
人々の生活感覚の中では
「正月に神社でも寺でも、ありがたい場所にお参りする」という意識は変わりませんでした。そのため、現在でも初詣は神社とお寺の両方で行われているのです。
こうして見ていくと、正月におみくじを引き、縁起物を授かり、
神社やお寺に参拝するという一連の行為は、
決して単なるイベントではなく、
長い歴史の中で育まれてきた信仰と生活の積み重ねであることが分かります。
新しい年の始まりに、神仏に手を合わせ、自分自身の心を整え、
一年を大切に生きていこうとする、その素朴で真摯な気持ちこそが、
初詣の本質なのではないでしょうか。
正月の賑わいの中で、こうした背景に思いを馳せながら参拝すると、
いつものおみくじや縁起物も、より意味深く感じられることと思います。