
EXECUTIVE BLOG
2026.6.6
高光産業株式会社
妹尾八郎です
昨日までは
高光産業株式会社が開発した世界最小クラスの
マイクロ電解セルについての話しでした。
直径わずか2センチメートルという小さな部品の中に、
高度な技術が凝縮されていることがお分かりいただけたと思います。
しかし、多くの方が次に抱く疑問は、
「なぜそんな小さな装置で高濃度オゾン水が作れるのか」
ということではないでしょうか。
今日ははその秘密について、
できるだけ分かりやすくお話ししたいと思います。
まず最初に知っていただきたいのは、
オゾン水の性能は
オゾン濃度によって大きく左右されるということです。
同じオゾン水でも
濃度が低ければ除菌や消臭の効果は限定的になります。
逆に高濃度になればなるほど短時間で強力な効果を発揮します。
つまりオゾン水の価値は
濃度で決まると言っても過言ではありません。
ところが、この高濃度化が非常に難しいのです。
オゾンは酸素原子が三つ結合した不安定な物質です。
そのため作った瞬間から分解が始まります。
さらにオゾンを生成する過程では、水素も同時に発生します。
この水素が大きな問題でした。
水を電気分解すると、オゾンと水素が同時に発生します。
ところが水素は非常に反応しやすい性質を持っています。
せっかく作られたオゾンと結び付き、再び水へ戻してしまうのです。
例えるなら、
一生懸命水をバケツに汲んでいるのに、
同時に底から水が漏れているようなものです。
どれだけ頑張っても水はなかなか溜まりません。
従来の電解セルはまさにその状態でした。
発生したオゾンと水素が混ざり合い、
オゾンの多くが失われていたのです。
その結果、生成されるオゾン水の濃度は低くなり、
十分な性能を発揮することができませんでした。
高光産業はこの問題を根本から見直しました。
どうすればオゾンを失わずに取り出せるのか。
その答えが「水素分離構造」です。
高光式電解セルでは、電気分解によって発生したオゾンと水素を物理的に分離します。オゾンは効率よく水へ溶け込み、水素は別経路から安全に排出されます。これによってオゾン同士が打ち消されることなく、そのまま高濃度オゾン水として利用できるようになったのです。
この仕組みによって従来型では困難だった10mg/L以上の高濃度オゾン水生成が可能となりました。
さらに注目すべきなのは圧力の利用方法です。
オゾンを水に溶かすには効率よく接触させる必要があります。
従来型の電解セルでは水素とオゾンが混在するため、
水に触れるオゾンの割合が少なくなっていました。
高光式電解セルでは水素を分離することで、
オゾンだけを効率よく水へ溶かし込むことができます。
その結果、同じ電力を使っても高い濃度を実現できるのです。
これは燃費の良いエンジンに似ています。
同じ燃料を使っても、
効率の良いエンジンは遠くまで走ることができます。
同様に高光式電解セルは、
同じ電力からより多くのオゾンを生み出すことができるのです。
しかし高光産業の技術革新はそれだけではありませんでした。
もう一つの大きな課題が水質の問題です。
一般的な電解セルは純水に近い水を使わなければ性能が安定しません。
水道水や地下水には
カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が含まれています。
これらが電解層に付着すると目詰まりを起こし、
性能低下や故障の原因になります。
つまり現場で使いにくいのです。
物流現場でも食品工場でも農業現場でも、
常に純水を用意することは現実的ではありません。
そこで高光産業は陽イオン分離技術を開発しました。
特許第6710882号および第6712420号の重要な技術の一つです。
この技術は目詰まりの原因となる成分を
自動的に排出する仕組みを持っています。
そのため水道水はもちろん地下水や硬水にも対応できるようになりました。
これは非常に大きな意味を持っています。
日本の水道水は比較的軟水ですが、世界には硬水地域が数多く存在します。
ヨーロッパや北米、中東などでは
日本の何倍もの硬度を持つ水が普通に使われています。
従来技術ではそのような環境で長期間安定して使用することは困難でした。
しかし高光式電解セルは硬度400ppmクラスの水質にも対応可能な設計となっています。
つまり日本だけでなく世界中で利用できる可能性を持っているのです。
さらに高光式電解セルには副産物として水素も発生します。
現在、水素は次世代エネルギーとして世界中から注目されています。
高光産業の技術はオゾンだけでなく、水素活用という将来の可能性も秘めています。
物流業界の消臭技術として生まれた発想が、衛生管理技術となり、環境技術となり、
さらにはエネルギー技術へと発展する可能性を持っているのです。
特許というと難しい技術に聞こえるかもしれません。
しかし本質は非常にシンプルです。
「どうすればもっと良くなるのか。」
「どうすれば現場で本当に役立つのか。」
その問いを追求した結果が、高光式電解セルなのです。
直径わずか2センチメートルの小さな部品ですが、
その中には物流現場の悩みを解決し、
世界中の衛生環境を改善する可能性が詰まっています。