
EXECUTIVE BLOG
2025.5.3
高光産業株式会社
妹尾八郎です。
昨日までは
ルノアールとゴッホの明暗の話しでした、、、。
今日はこの続きとなります、、、、
ルノワールとゴッホは、今でこそどちらも世界的に有名で、
名画と称される作品を数多く残しましたが、その生涯と評価は大きく異なります。
ルノワールは生きているうちからその芸術を高く評価され、多くの注文を受けながら豊かな生活を送りました。
一方、ゴッホは生前ほとんど絵が売れず、貧困と精神的苦悩に満ちた人生を送り、
わずか37歳という若さで亡くなりました。
しかし死後、彼の作品を理解し支えた人物たちのおかげで、
その評価は劇的に高まり、今やルノワールを超えるほどの評価を受ける存在となっています。この違いはどこから生まれたのでしょうか???。
そして、ゴッホを見出し評価したのは誰だったのでしょうか?????。
まずルノワールは、印象派の画家として知られますが、
彼自身は生涯を通じて常に「美しさ」や「幸せ」を描くことを追求していました。
女性や子どもたちの日常、バラ色の肌、柔らかな光に包まれた幸福な光景を愛し、
技法的にも明るい色彩と柔らかいタッチを用いました。
彼の作品は鑑賞者に安心と喜びを与えるものが多く、当時のパリ社会でも人気がありました。上流階級の顧客を中心に支持を集め、サロンへの出展や注文も多く、
画家として経済的にも精神的にも安定した生活を送ることができました。
彼は若い頃こそ貧しい時代もありましたが、中年以降は社会的にも名声を得て、
晩年にはフランス国家から勲章も授与されているのです。
一方ゴッホは、オランダ生まれで、元々は画商や牧師を目指していた人物です。
27歳頃から本格的に画家としての道を歩み始めますが、
彼の絵は当時の人々の感性に合わず、ほとんど売れませんでした。
荒々しい筆致、強烈な色彩、激しい感情が込められたその表現は、
同時代の芸術界では「未熟」あるいは「狂気」と見なされていたのです。
精神的にも不安定だったゴッホは、精神病院に入院したり、
自らの耳を切り落とすなどの事件を起こします。
ただ、
絵を描くこと自体が彼にとっての救いであり癒しであり、生きるための手段でもありました。弟テオが経済的支援をしていたおかげで、ゴッホは絵を描き続けることができたのですが、その努力が報われることは生前にはほとんどなかったのです。
では、そんなゴッホを誰が見出し、評価したのでしょうか???。
その鍵を握るのは、やはり弟のテオの存在です。
テオは画商であり、兄の作品を信じて疑わず、その価値を理解し、献身的に支えました。
ゴッホの死後、テオの妻ヨハンナ・ファン・ゴッホ=ボンゲルが、
兄弟の書簡をまとめて出版し、ゴッホの絵画と共にその内面世界を世に広めたことで、
ゴッホの芸術は一躍注目されるようになりました。
彼女は単なる遺族ではなく、ゴッホの偉大さを伝える活動に人生をかけた、
真のキーパーソンといえる存在だったのです。
彼女の尽力によって、ゴッホの絵は次第に展示されるようになり、
その独特な色彩感覚や構図、精神性が、新しい時代の芸術として再評価されていきました。
20世紀初頭には、
フォーヴィスム(野獣派)や表現主義など、感情の表現を重視する美術運動が台頭し始め、ゴッホの作品が彼らに大きな影響を与えたことも、評価を高める要因となりました。
ピカソやマティス、ムンクといった巨匠たちも、彼の作品を高く評価しました。
つまり、ゴッホの評価は、芸術の価値基準そのものが変わった時代の流れの中で、
ようやく正当に理解されるようになったのです。
それに対してルノワールの作品は、時代の主流に沿い、幸福や安定を描いたことで多くの人に愛されましたが、
芸術的革命や表現の革新という意味ではやや保守的と見なされることもあります。
もちろん今でもルノワールの作品は高く評価され続けており、
印象派の代表として世界中の美術館に所蔵されています。
しかし現代のアート市場や批評界では、
「革新性」や「個性」が重視される傾向が強く、
その点においてはゴッホの方がより多くの称賛を集めていると言えるではと思います。
現在のオークション市場を見ても、
ゴッホの絵はルノワールよりも高額で取引されることが多く、
その芸術的評価も年々高まっているようです。
ルノワールは大衆的な人気を保ち続け、装飾としての美しさで人々を魅了しますが、
ゴッホは「魂を描いた画家」として、見る者の心を揺さぶる存在となっています。
このように、同じ時代を生きたふたりの画家が、
まったく異なる人生と評価の軌跡を辿ったのは、
時代の流れ、見る者の感性、支える人々の存在、そして芸術のあり方そのものが深く関わっているのだと思います。
最後に言えるのは、芸術というものは、ただその時代に受け入れられるだけではなく、
時を超えて受け継がれ、新たな解釈や共鳴を生み出していくものだということです。
ルノワールの幸福感に満ちた作品も、ゴッホの内なる叫びを描いた作品も、
それぞれの時代と心を映す鏡であり、どちらもかけがえのない芸術として、
私たちに多くの感動と問いを与えてくれる存在であることは間違いないと思います。
ゴッホを世に出すのに努力したのは 家族でしたが
実際高く評価した人の存在も忘れてはいけません、、、、。
明日は その方は誰で何をしたのかに続く、、、。