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社長&顧問ブログ

2025.8.3

二礼四拍手

高光産業株式会社

妹尾八郎です。

 

昨日までは 神道の儀礼の話しでした。

 

出雲大社を訪れたことがある方は、

「二礼四拍手一礼」という独特の参拝作法に少し驚かれたかもしれません。

 

多くの神社では「二礼二拍手一礼」が一般的である中、

なぜ出雲大社では拍手が四回なのかと疑問を抱く方も少なくありません。

 

その答えを探っていくと、出雲大社の神様への思いの深さや、

古代から受け継がれる日本の神祇信仰の姿が見えてきます。

 

出雲大社にお祀りされているのは、大国主大神という神様です。

古事記や日本書紀にも登場するこの神様は、

国づくりを司った偉大な神であると同時に、

現代では「縁結びの神」として広く親しまれています。

 

人と人との縁だけでなく、仕事、健康、運命など、

あらゆるご縁を取り持ってくださる神様として

、多くの人が願いを込めて訪れる場所です。

 

そんな大国主大神に対して、

通常の拍手よりもさらに丁寧に、心を込めて祈りを捧げたいという思いが、

この四拍手という作法に込められているのです。

 

拍手とは神様に自らの存在を知らせ、

心を開き、敬意と感謝を伝える神聖な動作です。

二拍手でも十分に意味はありますが、

出雲大社ではその気持ちをより深く伝えるために、

四拍手を用いているといわれています。

 

「神様との心の通い合いをより丁寧に行うための拍手」――

それが出雲大社の参拝作法の根幹にあります。

また、古くからの伝統を重んじるという観点でも、

四拍手には意味があるとされています。

 

古代の神道儀礼では、

現在よりも多い回数の拍手を打つことが一般的であったと考えられており、

出雲大社ではその古式を今に残しているとも言われています。

 

つまり、四拍手は単なる特別な形式ではなく、

古来の神事の在り方を今も丁寧に守っている証でもあるのです。

 

そしてもう一つ、「四」という数字自体に意味を見出すこともできます。

日本語では「四」は「死」に通じることから

忌み数とされることもありますが、

一方で「しあわせ(四合わせ)」という言葉に重ねることで、

幸せを呼ぶ縁起の良い数として捉える考え方もあります。

四つの拍手により、

神様との心の結び、家族との絆、仕事や人間関係のご縁など、

あらゆる「しあわせ」が結び合わさることを願うという解釈もできるのです。

 

このように、出雲大社の四拍手には、

心の込もった祈りと、日本古来の神聖な作法が織り込まれており、

訪れる人の気持ちを清め、願いを真っすぐに届ける力があるとされています。

 

では、出雲大社だけがこの四拍手の作法を取り入れているのでしょうか。

 

実はそうではありません。

 

出雲大社の分祠や分霊社と呼ばれる神社では、

本社と同様に四拍手を正式な参拝作法としているところが多くあります。

 

たとえば、東京都港区六本木にある「出雲大社東京分祠」では、

出雲大社本社とまったく同じように「二礼四拍手一礼」が採用されており、

多くの参拝者がその作法に則ってご祈願をされています。

 

また、神奈川県秦野市の「出雲大社相模分祠」でも同様に、四拍手が正式な形となっており、都心からアクセスできる出雲信仰の拠点として親しまれています。

 

さらに、出雲系でなくとも、古式神道や八幡信仰の流れを汲む一部の神社でも、

神職が祝詞を奏上する際に四拍手を用いる場合があります。

これは、一般参拝者が参拝する際の作法とは異なり、

神職による正式な儀礼の中での所作として採用されている例もあります。

 

つまり、四拍手という形式は、出雲大社に限らず、

日本の神社の中で古くから受け継がれてきた作法の一つであり、

神様とのつながりをより強く感じるための手段として、

今もなお大切にされているのです。

 

そしてさらに特別な場面では、「八拍手」や「十拍手」など、

さらに多い回数の拍手を行う例も存在します。

 

これらは日常の参拝ではあまり見かけないかもしれませんが、

神職が執り行う特別な神事や、

古来の重要祭祀の中で用いられることがあります。

 

たとえば、神社の例祭や例大祭、

あるいは御神楽などの際に八回の拍手を行うことがあり、

これは「八開手(はちかいしゅ)」と呼ばれ、

厳粛な場面でのみ見られる儀礼です。

 

なぜ八回なのでしょうか。

それは「八」という数字が古代より神聖なものとされてきたからです。

八は末広がりの形をしており、

広がりや繁栄を象徴する縁起の良い数とされます。

 

また、「八百万の神」という言葉にもあるように、

日本には数えきれないほど多くの神々がいると信じられてきました。

その象徴がこの「八」という数字に込められているのです。

 

そのため、八拍手はただ回数が多いというだけではなく、

「多くの神々への祈りを込めた拍手」であり、

神々と人々をつなぐ橋渡しとして重要な意味を持っています。

 

また、神社によっては特別な神事の際に「十拍手」を用いることもあります。

十という数には「完成」「円満」「調和」といった意味があり、

神様への感謝を極限まで表したものとして、

極めて荘厳な場でのみ用いられる作法です。

 

このように、日本の神社における拍手の作法は、

一律ではなく、

神社ごとの御祭神の性格や、地域の伝統、歴史的背景に応じて、

さまざまな形が受け継がれています。

 

出雲大社の四拍手は、

その中でも特に古式の精神を色濃く残した、

美しく力強い祈りのかたちといえるでしょう。

 

出雲大社を訪れる際には、

ぜひその四拍手に込められた意味を感じながら、

ひとつひとつの所作に心を込めて参拝してみてください。

 

神様と向き合い、自分自身の願いを静かに見つめ直すことで、

ご縁と幸せの糸がそっと結ばれるかもしれません。

 

明日は この出雲大社ですが 何故神社ではなく大社なのか??

 

さらに あの話しにも、、、、、

続く、、、。

高光産業株式会社 公式サイト

https://takamitsu.com/

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