
EXECUTIVE BLOG
2025.4.13
高光産業株式会社
妹尾八郎です。
昨日までは、東京大学が加賀藩邸跡に建てられたという話でした。
今日はその流れで、「赤門」の話し続きます。
「赤門」と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは、
東京大学本郷キャンパスにあるあの門でしょう
重厚な屋根に、鮮やかな朱色の木材。まさに東大の象徴として、広く知られていますよね。
この赤門、実は江戸時代の1827年(文政10年)、加賀藩主・前田家の上屋敷に建てられた門なんです。
当時、将軍家から正室として娘を迎えた大名には、
朱塗りの御守殿門を建てるのがしきたりでした。
前田斉泰が徳川家斉の娘・溶姫を正室に迎えることとなり、
この赤門が作られたというわけです。
その後、明治時代になって加賀藩邸跡地が東京大学のキャンパスとなり、
赤門もそのまま残され、今では国の重要文化財としても大切にされているのです。
でも、実は「赤門」は東大だけのものではありません。
全国には、他にも「赤門」と呼ばれる門がいくつか存在しています。
それぞれがその土地の歴史や文化を映し出し、地域の人たちに親しまれてきた門なのです。
たとえば、愛知県豊橋市にある「赤岩寺」には、立派な朱塗りの山門があります。
正式には「山門」ですが、その鮮やかな色合いから、
地元の人たちは「赤門」と呼んでいるそうです。
赤岩寺は奈良時代の創建と伝わる古いお寺で、何度も火災に見舞われながらも再建され、
そのたびに朱色の門も復元されてきました。地域の信仰を支える象徴として、
今も大切にされている門です。
もうひとつ、神奈川県横浜市金沢区にある「称名寺」にも、美しい朱塗りの門があります。
ここも正式には「山門」ですが、その印象的な姿から「赤門」と呼ばれています。
称名寺は鎌倉時代に建てられたお寺で、金沢北条氏の菩提寺としても有名で、
朱色の門は、浄土庭園へと続く入口に建っていて、
歴史と自然が美しく調和した空間を演出しています。
さらに、東京大学のある文京区内にも、もう一つの「赤門」があるのをご存じでしょうか。それが「勝専寺」にある朱塗りの門です。
こちらは浄土宗のお寺で、地域では「赤門寺」という愛称でも知られています。
地元の人々にとっては、親しみのあるランドマークのひとつです。
そもそも、門を朱色に塗るという風習には意味があります。
仏教では朱色が魔除けや聖なる色とされ、
江戸時代以降、寺院建築によく使われるようになりました。
中国や朝鮮半島などアジアの文化でも、朱色は神聖な色とされていて、
日本でもその影響を受けて、格式の高い門や建物に使われてきたのです。
つまり「赤門」という言葉は、ただ赤く塗られている門というだけではなく、
信仰や由緒、格式の象徴でもあるのです。
最近では、学校や企業が「東大の赤門」にあやかって、
門を朱色に塗り「赤門」と称することもあるそうです。
これは歴史的な意味とは異なりますが、
学問への憧れや権威の象徴として取り入れられているのではと思います。
ある意味で、イメージ戦略とも言えるかもしれませんね、、、、。
こうして見てみると、「赤門」は単なる門ではなく、
日本の各地に息づく文化的・歴史的なシンボルなのです。
東大の赤門が特に有名ではありますが、全国の寺社や旧藩邸などに残された赤門にも、
それぞれの物語があると言うことなんです。
旅先などで「赤門」や朱塗りの門に出会ったときには、ただその色や形を楽しむだけでなく、「この門の背景にはどんな歴史があるのだろう?」と、
少し立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
赤という色に込められた意味、そして門に託された人々の祈りや誇り──
それらが今を生きる私たちにも、何か大切なことを語りかけてくれているような気がするのです。
明日は、 一番有名な赤門がある加賀藩について 続く、、、、。