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2026.2.15

初代天皇

高光産業株式会社

妹尾八郎です。

 

昨日までは 紀元節の話しでした、、。

 

今日はそこに出て来る 神武天皇の話に進みます、、。

 

「なぜ最初の天皇が神武天皇だと分かるのか」という問いは、

日本の歴史の根本に触れる非常に大切な疑問です。

 

結論から申し上げれば、歴史学的に実証されているから分かる、

というわけではありません。

 

神武天皇が初代天皇であるという根拠は、

主に8世紀に編纂された国家の歴史書である

『古事記』と『日本書紀』に基づいています。

 

『古事記』は712年、『日本書紀』は720年に完成しましたが、

そこには神武天皇が紀元前660年に即位したと記されています。

 

しかしこの年代は、

神武天皇が生きたとされる時代から千年以上も後にまとめられたものであり、

同時代の記録ではありません。

 

つまり、私たちが「神武天皇が初代である」と知るのは、

これらの書物にそう書いてあるからであって、

発掘された文書や遺跡によって直接証明されているわけではないのです。

 

ではそれ以前はどうだったのでしょうか。

 

『古事記』や『日本書紀』では、

神武天皇の前は「神代」と呼ばれる神々の時代とされています。

 

天地が開け、伊邪那岐命・伊邪那美命が国を生み、天照大神が現れ、

その子孫が地上に降り立つという物語が語られます。

 

そして天照大神の系譜を引く存在として神武天皇が登場し、

そこから人の世の天皇の歴史が始まるという構造になっています。

 

つまり神武天皇は、

神々の時代と人間の時代をつなぐ存在として描かれているのです。

 

この物語は宗教的・神話的な世界観に基づくものであり、

現代の歴史学が用いる実証的な方法で確認できるものではありません。

 

考古学の成果を見ても、

紀元前660年に統一国家としての「日本」が存在したという証拠は見つかっていません。

むしろその頃の日本列島は弥生時代に入りつつある段階で、

各地に小さな集団が分かれて暮らしていたと考えられています。

 

では実在がほぼ確実と考えられている最初の天皇は誰かというと、

多くの研究者は6世紀頃の継体天皇あたりからだと見ています。

 

さらに確実になるのは7世紀の推古天皇の時代以降で、

中国の歴史書にも日本の王の存在が記録され、

国内の遺跡や出土品とも整合するようになります。

 

つまり、初期の天皇、特に神武天皇から数代の天皇については、

神話的要素が強いと考えられているのです。

 

それではなぜ、8世紀に編纂された歴史書は神武天皇を初代と定めたのでしょうか。

 

ここには当時の政治的背景が関わっています。

 

奈良時代の日本は律令国家として中央集権体制を整えつつあり、

天皇を中心とする国家の正統性を明確に示す必要がありました。

 

そのためには、天皇の系統が途中で始まったのではなく、

はるか昔の神々の時代から連続しているという物語が重要だったのです。

 

天照大神の子孫が地上を治めるという構図は、

天皇の権威を宗教的・神聖なものとして支える役割を果たしました。

 

世界を見ても、王や皇帝が神の血を引くとする物語は珍しくありません。

 

古代国家においては、政治権力と神話は深く結びついていました。

神武天皇の東征の物語も、単なる空想ではなく、

古代における勢力移動や豪族の統合の記憶が象徴的に語られた可能性もあります。

 

ただしそれを具体的な年代や人物としてそのまま史実とみなすことはできません。

紀元前660年という即位年も、後世に中国の暦法に合わせて計算されたもので、

同時代の記録ではありません。

 

つまり、神武天皇が初代天皇であるというのは、

歴史的に証明された事実というより、

日本が自らの始まりをどう物語ってきたかという文化的・思想的な問題なのです。

 

大切なのは、神武天皇が実在したかどうかという二者択一の議論だけではありません。

むしろ、なぜそのような物語が必要とされたのか、

なぜ千年以上にわたってその系譜が語り継がれてきたのかを考えることに意味があります。

 

神武天皇という存在は、日本という国が自らをどのように理解し、

どのような連続性を大切にしてきたかを象徴する存在でもあります。

 

歴史は事実の積み重ねであると同時に、人々が共有する物語でもあります。

神武天皇の問題は、その二つが交差する地点にあります。

 

私たちは今、科学的な視点から過去を検証することができますが、

それと同時に、

古代の人々がどのような思いで国の始まりを語ったのかにも

思いを向けることが大切です。

 

神武天皇が初代とされる理由を知ることは、

日本の歴史そのものを見つめ直すことにつながります。

そしてその問いは、単に遠い昔の話ではなく、

私たちがどのように自国の歴史と向き合うのか?

という現在の姿勢をも映し出しているのです。

 

高光産業株式会社 公式サイト

https://takamitsu.com/

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