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2025.9.20

大祓詞短縮版

高光産業株式会社

妹尾八郎です。

 

昨日までは 祝詞の話しでした、、。

 

大祓詞という言葉は

神社にお参りをした方であれば一度は耳にされたことがあると思います。

六月と十二月の大祓式で神職が大勢の参拝者の前で奏上する長い祝詞がそれです。

 

実際に耳にするととても長く、聞き慣れない言葉も多くて、

なかなか最後まで集中して聞くのは難しいものです。

 

しかし神社によっては短く唱えられている場合もあり、

あるいは自宅で唱えるときに渡される冊子には短縮版が載っていることもあります。

 

ではどうして大祓詞には長い形と短い形があるのでしょうか???。

誰がどのようにして短くしたのでしょうか?????。

 

この疑問を解いていくと、大祓詞の歴史や日本人の宗教観の変化が見えてきます。

大祓詞の起源をたどると、奈良時代にまとめられた『延喜式』に行き着きます。

これは律令制度に基づいて朝廷が行うさまざまな祭祀を規定した書物で、

その中に六月と十二月の晦日に

罪や穢れを祓うために奏上する祝詞として大祓詞が記録されています。

文章は非常に長く、天津罪、国津罪というあらゆる罪の名前をひとつひとつ列挙し、

それをどのように祓い清めるかを神々に願い上げています。

まさに国家的な祭祀としての威厳を示すためのものであり、

言葉の力で清めるという古代人の信仰が強く現れているのです。

 

これがいわゆる長いバージョンの大祓詞です。

 

古代から中世、そして江戸時代に至るまで、

この全文は国家の祭祀や大規模な神事で奏上され続けました。

 

しかし一般の神社で毎日のように唱えるとなると話は別です。

全文を唱えるには相当な時間と集中力が必要で、意味を理解するのも難しいため、

神職にとっても参拝者にとっても負担が大きいものでした。

 

そこで自然に生まれてきたのが短縮版です。

 

近世から近代にかけて、

各地の神社では全文を唱える代わりに要点だけを残した形が使われるようになりました。

 

例えば天津罪や国津罪の細かい列挙を省いて

「罪という罪はことごとく祓い給え清め給え」という総称的な表現にしたり、

同じ趣旨の部分をまとめて簡潔にしたりするのです。

 

こうすることで唱える時間が短くなり、

日々の祭祀や朝夕の拝礼にも取り入れやすくなりました。

 

このような略詞が全国的に広がる決定的な契機となったのが

明治時代の神社制度改革です。

 

明治政府は神道を国家祭祀の根幹に位置づけ、

全国の神社を統制する仕組みを整えました。

 

その過程で祝詞の標準化が進み、神社本庁などが中心となって実用的な形に整理しました。

 

つまり「誰か一人が勝手に削った」というより、

国家的な方針の中で神職が唱えやすく、参拝者が理解しやすいように調整されたのです。

 

この短縮版は現在でも神社本庁が発行する祝詞集などに載せられており、

全国の神社で広く使われています。

 

もちろん大祓式の正式な場では今でも全文が唱えられますが、

普段は略詞が用いられるのが一般的です。

 

高光産業株式会社 公式サイト

https://takamitsu.com/

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