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社長&顧問ブログ

2025.12.1

師走

高光産業株式会社

妹尾八郎です。

 

昨日までは

ペリュリュー島の戦いから パラオに関する話でした。

 

今日から12月が始まります、、

それで 今日の話しは 師走についてに進みます、、、、

 

今日から師走という言葉を耳にすると、

一年の終わりが近づいてきたことを自然と感じますが、

その響きの割には意味の中身や歴史的背景を詳しく知る機会は案外少ないものです。

 

師走という言葉がどこから来て、いつ頃から使われ、

どのような文化的背景を持っているのかを知ると、

この一ヶ月の感じ方が少し変わってくるかもしれません。

 

まず師走の語源としてよく知られているのは「師が走る」という説で、

年末になると僧侶が仏事や年末行事のために忙しく走り回ることから来たというものです。

 

しかし、この説は近世以降に広まったもので、

語源としては必ずしも確定しているわけではありません。

 

語源を研究する国語学者によれば、師走という言葉は平安時代にはすでに使われており、

当時は「しはす」と読まれ、

漢字の「師走」は後から当て字として付けられたものとされています。

 

平安時代の文献には十二月を指して「しはす」という表現が出てきますが、

この段階ではまだ漢字表記が固定されていなかったため、

「師走」と書かれていたわけではなく、

その後の時代に意味を当てて「師が走る」という解釈がつくられ、

漢字が定着したと考えられています。

 

また、語源として他にも

「年が果てる」という意味の「歳(とし)果つ」が変化して「しはす」になったという説、「四季が果てる」という意味から来たという説、

「し」には年の終わりという意味があり「はす」は端す、

つまり終わりを迎えることを指すとする説など、複数の説が存在します。

 

いずれの説も確証があるわけではありませんが、

古代の日本語では音の連なりや季節感から自然に生まれた語が多く、

師走もその一つとして捉えると理解しやすくなります。

 

師走という言葉が日本文化の中で定着したのは平安末期から鎌倉時代にかけての頃で、

和歌や日記文学、典籍などに十二月を指す言葉として頻繁に登場するようになります。

 

当時の貴族や武士の間では年の終わりにさまざまな行事や儀式が行われており、

日常生活も慌ただしさを増していました。

 

こうした季節感が人々の間で共有されていたため、師走という言葉は自然な形で広まり、

江戸時代になる頃には完全に一般語として定着します。

 

江戸時代になると師走は庶民の日常生活と深く結びつき、

年末ならではの慌ただしさを象徴する言葉として使われるようになります。

 

大掃除、正月の準備、買い物、年末の支払い、家族行事など、

十二月はどの家庭でも忙しい時期であり、

その「忙しさ」は現代とほとんど変わりません。

 

特に江戸の町人文化においては、商いの締めや挨拶回りが重視され、

十二月は一年の総決算の月として扱われていました。

 

こうした生活風景を背景に、師走という言葉は単なる暦の名前以上の意味を持ち、

年末の独特の空気感や緊張感、そして新しい年を迎える期待感を表す言葉として

根づいていきました。

 

また、師走には「しわす」とも「しはす」とも読まれてきましたが、

明治以降、学校教育の中で「しわす」という読みが一般的に教えられるようになり、

現代ではほぼ「しわす」に統一されています。

 

ただし、古典文学では「しはす」と表記されることが多いため、

古典を読む際には注意が必要です。

 

師走が十二月を表す言葉として広まった背景には、

日本人の季節感と時間意識が密接に関わっています。

 

古代の日本では「年」はただ時間が過ぎるというだけではなく、

農作業の区切りや生命の巡りと深く結びついた重要な概念でした。

 

そのため年の始まりと終わりは特別な意味を持ち、

十二月はその締めくくりとして大切にされていました。

 

さらに師走という言葉が持つ「慌ただしい」「忙しい」という印象は、

単なる語源の話ではなく、

実際に人々が感じてきた季節の空気と重なっている点が興味深いところです。

 

現代でも十二月になると街の雰囲気が変わり、

イルミネーションが灯り、企業や学校では期末行事や総まとめの業務が増え、

人々の生活も自然と急ぎ足になります。

 

年賀状の準備や大掃除、忘年会などの風習も師走特有の慌ただしさを生む大きな要素です。

 

そして、日本語における「師走」という言葉の魅力は、

単に「十二月」という事務的な意味にとどまらず、

そこに含まれる季節感や文化的情緒が豊かである点にあります。

 

日本語には季節を表す多くの美しい言葉がありますが、

師走はその中でも特に感覚的な広がりを持ち、

聞くだけで一年の終わりの空気が立ち上がってくるような独特の存在感があります。

 

いつから使われているのかを知り、なぜこう呼ばれるのかを知り、その背景を理解すると、師走という言葉は単なる暦の名称ではなく、

千年以上の歴史を持つ文化の結晶だということが分かってきます。

 

今年の最後の月を迎えるにあたって、

こうした言葉の由来や歴史に思いを巡らせながら過ごすと、

いつもの十二月が少し豊かなものになり、

気持ちの整え方も変わってくるかもしれません。

 

一年の総仕上げの月として、自分の生活を見直し、

新しい年を迎える準備を楽しみながら過ごしていきたいものです。

高光産業株式会社 公式サイト

https://takamitsu.com/

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