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社長&顧問ブログ

2025.10.8

桃太郎

高光産業株式会社

妹尾八郎です。

 

昨日までは 福岡県の多賀神社にある桃の置物の話しでした、、、。

今日は この話に続きます、、、。

 

先日、福岡県の多賀神社にお参りしたとき、神前に三つの桃が並べられているのを見て、

思わず立ち止まりました。

桃が神様に供えられているという光景は、どこか懐かしく、

そして不思議な力を感じさせるものでした。

 

そのとき、ふと頭に浮かんだのが、昔話の「桃太郎」です。

子どもの頃に誰もが一度は聞いたこの物語も、実はただの昔話ではなく、

桃に宿る神聖な力と深い信仰の物語なのだと改めて気づかされました。

 

桃太郎は、川を流れてきた大きな桃をおじいさんとおばあさんが拾い、

割ってみると中から元気な男の子が生まれるというお話です。

 

この「桃から生まれる」という設定には、

古代から日本に伝わる“桃の霊力信仰”が背景にあります。

 

古事記の中では、伊邪那岐命が黄泉の国から戻られる際、

追いかけてくる魔物たちに桃の実を投げつけて退けたという神話があります。

この出来事から、

桃は邪を祓い、命を守る果実として「霊果」と呼ばれるようになりました。

 

つまり、桃から生まれた桃太郎は、

人々を守り、悪を祓う力を持つ存在としてこの世に現れた“神の子”なのです。

 

鬼を退治するという物語の中心には、

災いや不正、悪意といった「人を苦しめるもの」を正すという意味が込められています。

 

桃太郎が鬼ヶ島へ向かう姿は、

まさに「邪気を祓う桃の力」が人の姿をとって行動しているようなものです。

 

桃太郎の名前に「太郎」とあるのも象徴的です。

「太郎」は古来より“第一の男子”を意味し、

「正しき力」「清らかな勇気」を体現する存在として描かれます。

桃太郎が鬼退治を果たすことは、悪を打ち払い、世を清め、

平和をもたらすという桃の力そのものを表しているのです。

 

桃は古代中国でも長寿や不老不死を象徴する果実とされ、

仙人が桃を食べて何千年も生きるという伝説がありました。

 

その考えが日本に伝わり、

桃は「命を延ばす果実」「災いを退ける守りの果実」として信仰されていきました。

 

やがて日本では、桃の節句や桃花神事など、

生活の中にも桃を通じて神聖な祈りを込める習慣が広まりました。

 

つまり、桃太郎の誕生物語も、多賀神社の神前に祀られた三つの桃も、

どちらも根底には同じ祈りが流れているのです。

それは

「悪を祓い、命を守り、世を清める」という古代からの願いです。

 

桃太郎が鬼退治に出るとき、犬、猿、キジという三匹の仲間を従えます。

この三匹にもまた象徴的な意味があります。

 

犬は忠義、猿は知恵、キジは勇気を表し、それぞれ人の心に宿る三つの徳を示しています。

 

桃の力によって生まれた桃太郎が、

この三つの徳を味方につけて鬼を退治するという物語は、

人が正しい心を持ち、知恵と勇気をもって悪に立ち向かえば、

どんな困難も乗り越えられるという教えにも通じます。

 

つまり、桃太郎は神話から受け継がれた

「人の心の中にある桃の霊力」の象徴でもあるのです。

 

福岡の多賀神社に祀られていた三つの桃を見たとき、

その一つひとつがまるで桃太郎の物語に登場する“祈りの結晶”のように思えました。

 

三つの桃は、

伊邪那岐命、伊邪那美命、そして人間の心を結ぶ形を表しているともいわれます。

桃太郎が三匹の仲間と共に悪を祓ったように、

三つの桃もまた「神」「自然」「人」という三つの力が調和し

、清らかに生きることを象徴しているように感じます。

 

桃太郎の物語は、ただの英雄譚ではなく、日本人の祈りの原点を伝える物語です。

桃の中から生まれた子が悪を退けるというのは、

神聖な力によって清められた生命が、人々を導き、守るという意味を持っています。

神話と民話は時代を越えてつながっており、桃太郎はまさにその橋渡し役のような存在です。

 

多賀神社の桃も、古代の神話も、そして桃太郎の物語も、

すべては「悪しきを祓い、正しきを立て、清らかに生きる」という日本人の魂の願いを語っています。

 

お参りを終えて境内を出るとき、桃太郎が鬼退治に向かう勇ましい姿が心に浮かびました。その姿は、単なる昔話の主人公ではなく、清らかな力を持つ桃の化身であり、

人々を守る祈りそのものであるように思えました。

 

もし多賀神社を訪れる機会があれば、どうか神殿の三つの桃に目を向けてみてください。

その桃は、古代の神話と桃太郎の物語をつなぎ、

日本人の心に今も息づく「清め」と「希望」の象徴なのです。

桃の実は静かに語りかけています。

 

悪を祓い、正しく生きよ、そして清らかな心で命を大切にせよと。

高光産業株式会社 公式サイト

https://takamitsu.com/

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