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2025.6.30

紅衛兵と人民解放軍

高光産業株式会社

妹尾八郎です。

 

昨日までは 文化大革命時代の紅衛兵の話しでした。

お隣の国でありながら 中国の体制を理解するのは難しいかもしれませんね、、

 

今日は 紅衛兵と人民解放軍の違いについての話に進みます、、、。

 

中国の歴史や政治において、軍隊と民衆の関係は非常に深く、複雑です。

特に「紅衛兵」と「人民解放軍」は、どちらも毛沢東の時代を象徴する存在として知られていますが、その役割や性質はまったく異なります。

 

今日は、人民解放軍の成り立ちやその役割、さらにナチス時代のドイツとの比較についての

話しに進みます、、。

 

まず紅衛兵とは、1966年に始まった中国の「文化大革命」の中で、

毛沢東の呼びかけに応じて全国の若者たち、特に中高生や大学生が自発的に結成した政治運動グループのことを指します。

 

彼らは毛沢東を絶対的なリーダーと信じ、「資本主義的」「反革命的」とされた教師や知識人、党の古い幹部などを糾弾し、暴力やリンチ、破壊活動などを繰り広げました。

毛沢東は紅衛兵を利用して、当時の共産党内のライバルを一掃し、再び自分の権力を強化するための手段としました。

 

一方で、「人民解放軍」は紅衛兵とは全く異なる起源と役割を持つ存在です。

人民解放軍の前身は、1927年に中国共産党が国民党と決別して武装蜂起した際に誕生した「中国工農紅軍」です。

 

つまり、もともとは中国共産党の武装勢力であり、国民党政府と戦い、後に日本軍との戦いにも参加し、最終的には1949年に中華人民共和国を建国するための大きな原動力となった正規軍なのです。

 

1949年の建国以降、この紅軍は「中国人民解放軍」と改称され、

正式な国家の軍隊、すなわち「中国国軍」として機能するようになりました。

 

しかし、ここで注意したいのは、人民解放軍は「国家に属する軍隊」であると同時に、

「中国共産党の軍隊」であるという点です。

 

これは世界の多くの国々、たとえば日本やアメリカなどの軍隊とは大きく異なる特徴です。中国では、「党が銃を握る」すなわち、共産党が軍を完全に掌握するという原則が貫かれており、人民解放軍は「党の軍隊」として政治的にも強い影響下に置かれているのです。

 

つまり、紅衛兵は一時的な政治運動であり、非正規で統制も曖昧な民間組織だったのに対し、人民解放軍は共産党の直轄で組織された長期的な正規軍という違いがあります。

 

紅衛兵がそのまま人民解放軍になったわけではなく、紅衛兵はやがて文化大革命の混乱を収束させるために毛沢東自身によって抑え込まれ、最終的には解散させられ、多くの若者たちは地方に「下放」され、農村で労働をさせられました。

一部はその後、人民解放軍に入隊した例もありますが、それは個人としての選択であり

、組織としての紅衛兵が軍になったというものではありません。

 

さて、ここでナチス時代のドイツと比較してみると、、

ナチス政権下のドイツには、「ドイツ国防軍」という国家の正規軍がありました。

これは第一次世界大戦後に再建されたドイツの伝統的な軍隊で、

ヒトラーの登場以前から存在していたものです。

 

ところが、ヒトラーはこの正規軍に加えて、

自らの思想に忠実な私兵組織として「親衛隊(SS)」や「突撃隊(SA)」を組織しました。

これらはナチス党の軍事部門ともいえる存在で、国家の軍隊とは別に動き、しばしば内部対立もありました。

 

この構図は、中国の紅衛兵と人民解放軍にもある程度似ています。

つまり、紅衛兵は毛沢東の個人的な思想と権力維持のための動員装置であり、

いわば“政治的私兵”のようなものでした。

一方で人民解放軍は、制度化された正規軍であり、

共産党の下で長期的に整備された軍隊です。

 

しかしながら、ナチスの親衛隊(SS)は次第に国防軍と並ぶ巨大な軍事力に成長し、

ヒムラーのもとで独自の武装親衛隊(Waffen-SS)を編成するなど、

国家の軍事力に匹敵する存在となりました。

それに比べれば、紅衛兵はそのような恒久的な軍事組織にはならず、

一時的な政治ツールとして使い捨てられたという点が大きな違いです。

 

現代の中国において、人民解放軍は軍事力だけでなく、

宇宙・サイバー・経済インフラなどあらゆる分野で国家の統制を担う重要機関になっています。

しかしその本質は依然として「共産党のための軍隊」であり、

選挙で選ばれた政府の下にある「国民の軍隊」とは異なります。

これが、たとえば日本の自衛隊やアメリカの軍隊と根本的に異なる点です。

 

以上のように、紅衛兵と人民解放軍は性質も成り立ちも異なる存在です。

紅衛兵は毛沢東の号令で生まれ、暴力と混乱をもたらし、やがて消えていった一過性の運動体でした。

人民解放軍は共産党と共に生まれ、今もなお中国を支える巨大な軍組織として存在し続けています。

 

ナチス時代のドイツとの比較からもわかるように、

イデオロギーを背景に持った武装組織がいかに国家の中で使われ、時に制御を失って混乱をもたらすかは、歴史が教えてくれる重要な教訓でもあるのではと思います、、。

 

では もし 中国の共産党の一党独裁が終わるとどうなるのか????

の話は、、、

 

明日に続くのか??、、、、。

 

高光産業株式会社 公式サイト

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