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2025.2.9

統帥権

高光産業株式会社

妹尾八郎です。

 

昨日までは 長州藩の山縣有朋が軍部独走の下地を作ったと言う話でした。

 

その山縣有朋が考えた「統帥権の独立」は本当に必要だったのか?の話に進みます。

 

日本の近代史において、「統帥権の独立」は大きな議論を呼ぶ概念の一つですね。

この考えを制度として確立した中心人物が、明治時代の元勲・山縣有朋だったのです。

 

統帥権とは、軍隊の指揮命令権のことであり、山縣はこれを内閣や議会から切り離し、

天皇が直接掌握するものとしたのです。

この制度は後の日本の政治と軍事に大きな影響を及ぼし、

特に昭和期の軍部の暴走を許す要因になったとされています。

しかし、

この「統帥権の独立」は本当に必要なものだったのでしょうか?

「統帥権の独立」は、

日本の憲法制度において軍隊の指揮権が政府から独立し、

天皇が直接統帥するという考え方なのです。

1889年に発布された大日本帝国憲法では、

第11条で「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」と明記されており、

統帥権が天皇に属することが規定されているのです。

 

ここで、山縣有朋は軍令と軍政を区別し、軍政(予算や編制)は政府の管轄とする一方で、軍令(作戦指導や指揮権)は政府から独立しているべきだとしたのです。

これにより、軍部は内閣や議会の監督を受けずに独自に行動できるようになってしまったのでした。

 

山縣有朋がこの制度を導入した理由としては

軍隊が政治に影響を受けることを防ぐために統帥権を独立させる必要があると考えていたのです。

特に、政党政治が進展すれば軍が政争に巻き込まれ、

国家の防衛力が損なわれるという懸念を彼は考えていたのです。

 

維新後の明治憲法体制では、天皇の権威を絶対視する考え方が支配的でした。

軍の指揮権を政府から切り離し、天皇が直接持つことで、

天皇親政の理念を強調し、軍の独立性を担保しようと考えたと言う事です。

 

この当時のヨーロッパ諸国では、軍の指揮権が政府と分離されている国もあり、

日本もこれに倣うべきだという考えがあり、特にプロイセンの軍事制度がモデルとされ、

軍令と軍政の分離が進められたのでした。

 

しかし、この「統帥権の独立」は後の日本に深刻な問題をもたらすことになったのです。

まず

統帥権が政府から独立していたため、軍部は独自の判断で政策を決定し、

内閣や議会の意向を無視することが可能にしてしまったのです。

特に昭和期になると、陸軍や海軍の首脳部が政府のコントロールを受けずに暴走し、

日中戦争や太平洋戦争への道を開く事になってしまったのです。

軍令が政府から独立しているため、軍と政治の間には深刻な対立が生じてしまいました。

たとえば、

1930年のロンドン海軍軍縮条約では、内閣が条約締結を推進したにもかかわらず、

海軍の一部が統帥権を盾に反発し、政府の決定を否定する事態に発展してしまったのです。

さらには

1900年に導入された「軍部大臣現役武官制」により、

陸軍・海軍大臣は現役の武官でなければならないとしてしまいました。

 

これにより、軍が政府の政策に不満を持つと、

意図的に大臣を出さずに内閣を総辞職に追い込むことを可能にしてしまったのです。

これが政党政治の発展を妨げ、軍部の影響力をさらに強める結果となったと言うわけです。

 

結論として、

山縣有朋が意図した「軍の政治介入の防止」という目的は一定の合理性を持っていたのですが、

結果として統帥権の独立は軍部の暴走を許す要因となり、

日本の戦争への道を加速させてしまったのです。

もし、統帥権が政府の統制下にあったならば、

軍部の独走を防ぎ、より民主的な意思決定が可能になっていたかもしれないと思います。

 

このように山縣有朋が考案した「統帥権の独立」は、

軍の政治的中立を保つという意図があったのですが、

結果的には軍部の暴走を招き、日本を戦争へと導く大きな要因となってしまったのです。

そのため、

統帥権の独立は日本にとって本当に必要だったのかという問いに対しては、

「制度設計の不備があったため、不必要であった」と結論づけることができるのではと思います。

歴史の教訓として、

軍のシビリアン・コントロールの重要性を再認識することが、

いつの時代においても求められていると感じます。

 

ここで 又もしも話ですが

 

もし 薩長の独走を他の藩が許さなかったら

どうなっていたのでしょう・・

との興味も湧いてきます

 

明日は

 

その話しになるのか・・・・・・・???

 

続く。

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