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社長&顧問ブログ

2025.9.29

親日国ミャンマー

高光産業株式会社

妹尾八郎です。

 

昨日までは

ビルマがミャンマーと呼ばれるようになった経緯の話しでした。

今日は ミャンマーは親日国なのか? の話に進みます、、、。

 

第二次世界大戦の頃から今日に至るまで、

ミャンマーは日本と独特の関わりを持ってきました。

 

一般に「親日国」と呼ばれることが多いのですが、

これは単に好意的な感情だけではなく、歴史的な経緯や政治的事情、

そして国民の記憶が重なり合って生まれた複雑な結果といえます。

 

東南アジアには多くの国々がありますが、

その中でも

特にミャンマーが「親日」というイメージを持たれやすい理由を整理してみましょう。

 

まず大きな理由のひとつは独立運動と日本の役割です。

多くの東南アジア諸国が戦後に独立を果たしたのに対し、

ミャンマーでは日本が独立のきっかけを直接的に与えたという経験があります。

 

アウン・サン将軍ら「30人の志士」は日本に渡って軍事訓練を受け、

日本軍とともにイギリスに対抗する力を育てました。

 

1943年には日本の支援を受けて「ビルマ国」が独立を宣言しました。

形式的な独立ではありましたが、この体験はビルマ人に強い印象を残しました。

他の国々でも日本軍の進出が独立運動を刺激した事例はありましたが、

ミャンマーほど明確に「日本が独立への道を開いた」

という物語が形成された国は少ないのです。

 

次に挙げられるのがアウン・サン将軍の存在です。

彼は「国民的英雄」「独立の父」として広く尊敬されていますが、

その歩みには日本との深い関わりがありました。

 

戦局が変わるとアウン・サンは日本を離れ、連合国側に転じましたが、

それでも「日本を利用して独立の力を得た」という評価が国民の間に残っています。

 

アウン・サンが国民にとって不動の英雄であることが、

日本とのつながりを肯定的に思い起こさせる要因になっています。

 

戦後になると、日本は賠償や経済協力の形でミャンマーを継続的に支援しました。

1954年には戦後賠償協定を結び、2億ドル相当の供与を行いました。

 

以降も日本は道路や発電所、農業開発や教育支援などを幅広く手掛け、

2000年代に至るまでミャンマー最大の援助国でした。

 

この長い関与は

「日本は戦後も私たちを見捨てず助けてくれる国」という信頼感を根付かせました。

これは東南アジア諸国の中でも際立った特徴であり、

ミャンマーにとって日本は「過去も現在も頼れる相手」として認識されてきたのです。

 

さらに近年の中国の存在も親日イメージを強める要因となっています。

中国は大規模なインフラ投資や経済的関与を強めていますが、

ミャンマー国民の間では

「資源を奪う」「労働者を大量に送り込む」といった警戒感も根強いです。

 

これに対して日本は

「必要なところを支えてくれる」「信頼できる」という印象を持たれやすく、

相対的に「日本の方が好ましい」という感覚が広がっています。

 

つまり親日感情は、日本単独の要素だけでなく、

中国との比較によってより鮮明に意識される面もあるのです。

もうひとつ大事な点は、日本人への印象です。

 

ミャンマー人の多くは、

日本人を「まじめ」「誠実」「技術力がある」と評価しています。

これは戦後のODAや企業活動だけでなく、

日本語教育機関や文化交流を通じても広まったイメージです。

 

アニメやドラマといった文化的な側面も若い世代の親しみを高めています。

現地で活動する日本人が真面目に責任感を持って取り組む姿が、

国民にとって好印象を形作っているのです。

 

こうした歴史的・文化的・経済的な積み重ねによって、

ミャンマーは「親日国」と呼ばれやすくなったのです。

 

ただし忘れてはならないのは、

戦争中の被害や占領期の記憶も存在することです。

 

日本軍による統制や搾取で苦しんだ人々、

特に少数民族地域には「日本軍は抑圧者だった」という記憶も残っています。

 

また近年では日本が軍政と一定の関係を保ってきたため、

民主化を求める人々の中には日本への不信感を抱く人もいます。

 

つまり「親日国」という表現は全体としては成り立ちますが、

必ずしも国民全員が同じ感情を持っているわけではなく、

世代や地域によって評価に差があるのです。

 

まとめると、ミャンマーが「親日国」と強調されるのは、

第一に日本が独立運動を直接支援した歴史、

第二に国民的英雄アウン・サンと日本との関わり

第三に戦後の長期的な援助と協力、

第四に中国など他国との比較で信頼されやすい点、

第五に日本人への好意的なイメージ、

といった要素が重なった結果です。

 

他の東南アジア諸国でも親日感情はありますが、

これらの要素がそろっているミャンマーは特にその印象が強くなるのです。

 

ですから「親日国ミャンマー」という言葉はおおむね正しいものの、

その裏側には

戦争被害や政治的葛藤といった複雑な歴史が横たわっていることも

理解しておく必要があります。

 

全体としては「比較的親日的な国民感情を持つ国」と言えますが、

それは単純な好意ではなく、

長い歴史と多面的な経験の上に成り立った友好関係だと受け止めるのが正確でしょう。

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