
EXECUTIVE BLOG
2025.10.5
高光産業株式会社
妹尾八郎です。
昨日までは
因幡の白兎の話しでした。
今日も 出雲神話の話に続きます、、、。
出雲神話の中の八岐大蛇と奇稲田姫の物語は、
日本神話の中でも特に有名で、人々に長く語り継がれてきた出雲の神話です。
この物語は古事記や日本書紀に記され、
神々の世界から人の世へとつながる重要な物語のひとつとされています。
舞台は出雲の国、今の島根県のあたりです。
主人公は天照大御神の弟、須佐之男命です。
須佐之男命は天界である高天原にいましたが、
乱暴を働いたために追放されてしまいました。
地上に降り立った須佐之男命は、
出雲の国の肥の川(現在の斐伊川)のほとりを歩いていたとき、
涙を流している老夫婦と若い娘に出会います。
須佐之男命が「なぜ泣いているのか」と尋ねると、
老夫婦は
「私たちは脚摩乳と手摩乳と申します。この娘は奇稲田姫といいます。
八つの頭と八つの尾を持つ大蛇が毎年やってきて、
これまでに私たちの八人の娘を一人ずつ食べていきました。
今年もまたやって来る年で、残ったこの子も食べられてしまうのです」
と話しました。
須佐之男命はその話を聞いて、
「よし、私がその大蛇を退治しよう」と言いました。
そして
「もし退治に成功したら、この奇稲田姫を妻にいただきたい」と申し出ます。
老夫婦は涙を流して感謝し、その申し出を快く受け入れました。
須佐之男命は退治の準備を始めます。
まず、奇稲田姫を安全な場所に隠すために、
彼女を櫛の姿に変えて自分の髪に挿しました。
次に、八つの門を作り、
それぞれの前に大きな酒の桶を置かせました。
その酒は「八塩折之酒(やしおおりのさけ)」と呼ばれる、とても強い酒です。
八岐大蛇は酒が大好きだと聞いていたからです。
やがて、山を揺らすような音とともに八岐大蛇が現れました。
八つの頭、八つの尾を持ち、体は山のように大きく、木や苔が生え、
目は炎のように赤く輝いています。
その恐ろしい姿に老夫婦は震えましたが、須佐之男命は冷静でした。
大蛇は八つの頭をそれぞれの酒桶に突っ込み、夢中で酒を飲み始めました。
あまりにうまい酒だったので、ついに酔いつぶれて動かなくなります。
その隙を逃さず、須佐之男命は腰の剣を抜いて一気に斬りかかりました。
八つの首を次々と切り落とし、体を細かく斬り裂いていきました。
その時、大蛇の尾を切った瞬間、硬い音がして、剣の刃が欠けました。
不思議に思って尾の中を調べてみると、そこから一本の立派な剣が出てきました。
それが「天叢雲剣」と呼ばれ、後に「草薙の剣」と名づけられる名剣です。
この剣は須佐之男命が天照大御神に献上し、さらに後の世に天皇家へと伝わりました。
三種の神器の一つとして、今も日本の皇室の象徴となっています。
須佐之男命はこうして八岐大蛇を退治し、奇稲田姫を救い出しました。
そして二人は夫婦となり、出雲の地に宮を構えて幸せに暮らしたといわれています。
この出雲の地から、やがて国造りを進める大国主命へと物語がつながっていきます。
この八岐大蛇の物語は、単なる怪物退治の話ではなく、
「出雲」と「縁結び」に深く関わる象徴的な物語です。
須佐之男命と奇稲田姫が結ばれたことは、
人と人、神と神、そして国と国を結ぶ「縁」のはじまりともいえます。
出雲大社が「縁結びの神」として有名なのも、この神話がもとになっているのです。
因幡の白兎の物語で大国主命と八上比売が結ばれたように、
八岐大蛇の話でも須佐之男命と奇稲田姫の結びつきが新しい時代を生みました。
出雲の神々の物語には、こうした「つながり」や「ご縁」の力が何度も登場します。
人と人との縁が新しい物語を生み、神々の国造りを支えたのです。
また、この神話は現代でも多くの教えを含んでいます。
八岐大蛇は人々を脅かす災い、自然の猛威、
あるいは人の心の中の恐れや欲の象徴とも言われます。
須佐之男命はそれを勇気と知恵で打ち倒す存在であり、
困難に立ち向かう人間の姿そのものです。
そして奇稲田姫は、守るべき命や愛の象徴です。
つまりこの物語は、どんな困難にあっても知恵と信念を持って立ち向かえば、
必ず道は開けるという教えを伝えているのです。
出雲地方では今もこの物語にちなんだ祭りや神楽が行われています。
神楽では、巨大な八岐大蛇の姿を布や仕掛けで再現し、
須佐之男命との戦いを迫力満点に演じます。
その光景は、古代の神話が今も生きていることを感じさせます。
出雲の人々にとって八岐大蛇の物語は単なる伝説ではなく、
地域の誇りであり、神々との絆を表す象徴なのです。
こうして、出雲の神話は時代を超えて語り継がれ、
縁を大切にする日本人の心に深く根付いています。
須佐之男命と奇稲田姫の物語は、
命を守り、愛を結び、困難を乗り越えて新しい未来を築くという
普遍のテーマを私たちに伝え続けているのです。
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