
EXECUTIVE BLOG
2026.11.1
高光産業株式会社
妹尾八郎です
先日、上野の不忍池を歩いていた時のことです。
池のほとりに、一体の銅像が立っているのを見つけました。
ゆったりとした衣をまとい、穏やかな表情をした人物です。
最初は、尼僧なのだろうか、それとも昔の女性なのだろうかと思いました。
ところが、少し不思議に感じたことがありました。
その銅像は、美しい不忍池の方を向いていないのです。
池に背を向けるように、道路の方を向いて立っています。
これほど景色の良い場所なのに、なぜ池を眺めていないのだろう。
そんな素朴な疑問から、
その人物について調べてみることにしました。
すると、思いがけない歴史に出会うことになったのです。
その人物は、鑑真和上。
今からおよそ1300年前、中国から日本へ渡り、
日本の仏教や文化の発展に大きな足跡を残した高僧でした。
688年、中国の揚州に生まれた鑑真は、14歳で出家し、
長い修行の末、多くの人々から尊敬される人物となりました。
そして50代半ばになった時、人生を大きく変える決断をすることになります。
それまで築き上げてきた名声も、地位も、安定した暮らしも手放して、
日本へ渡ることを決意したのです。
当時の航海は、命を落とす危険と隣り合わせでした。
なぜ、そこまでして日本へ渡ろうとしたのでしょうか??。
実は、その背景には、
日本から海を渡って鑑真を訪ねた二人の若い僧侶の存在がありました。
一人の偉大な人物が歴史を変えたように見えても、
その始まりには、誰かとの出会いがあるものなのです。
不忍池の銅像の話に戻りますが、、
調べてみると、この像は西の方角を向いていると紹介されていました。
西には、鑑真の生まれ故郷である中国があります。
その向きにどのような意図が込められているのか、
詳しいことは分かりません。
けれど、私はふと考えました。
遠い故郷に思いを寄せているようにも見えるこの姿は、
何を語りかけているのだろうか、と。
人間は、
誰もが目の前にあるものだけを見て生きているわけではありません。
故郷を思う人。遠く離れた大切な人を思う人。
そして、まだ見ぬ未来に夢を託す人。
心の中には、それぞれが見つめ続けている景色があるのでしょう。
日々の生活の中で、私たちは多くのものを目にしています。
しかし、そこに何があるのかを知ろうとしなければ、
見えているものも、見えていないのと同じなのかもしれません。
今回、私がこの銅像に出会えたのも、たまたま足を止めたからでした。
もし、何も考えずに通り過ぎていたら、
1300年前の人間の生き方に思いを巡らせることもなかったでしょう。
人生の中には、何気ない出会いが、思いもよらぬ学びにつながることがあります。
大切なのは、何を見たかということよりも、
見たものから何を感じ、何を学ぼうとするかなのかもしれません。
一体の銅像から始まった、思いがけない歴史への旅。
次回は、鑑真の人生を動かした
アノ人達の話しに続く、、、、。